喫茶Hesperusには猫がいる


「ちょっと兄ちゃん、やからこれはどういうことや?」

そう言いながら、カウンターから一匹の猫が顔を出す。全身真っ黒くて細長い猫だ。


「ぜんざい言うたのに、何で金時が出てくんねんな」

「ん?白玉のぜんざいって白玉にあんこを添えたもの…」

「だーかーらー!それは金時って言うんやないのか!」


首を捻る店員さんに、ギャーギャーと文句を言って対抗する黒猫。
何のことだかわからないが…私は一つだけ知っていることがある。
この猫は関西訛りなので、おそらく。


「あの…関西の『ぜんさい』って、つぶあんを使ったおしるこのことを指すんですよ……?」

そう言うと、三人(と言うか一人と二匹)は目をパチクリさせながらこっちを見ている。


「そうなの?」

店員さんが首を傾げているので、私はスマホを取り出して『関西 ぜんざい』と検索。

「はい、このことですよね?」

スマホに表示された画像は、ドロっとしたつぶあんの汁の中に白玉が浮かんでいるもの。
それを店員さんと黒猫に見せると──「そうそれ!」と黒猫は大きく頷いた。


「なるほどねぇー、じゃあすぐ作り直してみるわ」