ニャーと言う鳴き声と共に「どういうことや!」という声が響く。
そして再び鳴き声と共に「うるさい!」という声も。
私は思わず固まった。
「猫が、喋った………?!」
だって…その「うるさい」と言ったのは、カウンターで寝そべっている猫だったから。
するとはっとした顔で私を見る店員さんと、その猫。
「ちょっと君、聞こえてるの?!」
「えぇ…はい……」
ってことは…やっぱり普通は三本のしっぽは見えないものだし、猫の声は聞こえないものなのか、と妙に納得。
「昔からよく、変なものが見えたり聞こえたりしてるんです」
そう言うと「あーなるほど」と呟く店員さん。
そして猫はムクりと立ち上がり、私の足元まで来た。
「俺様の声が聞こえるとは、お前は何とも徳が高い。俺様は何を隠そう無限の智慧と慈悲の心を人々に与える虚空蔵菩薩の使い…」
「ごちゃごちゃ言うな、お前が子猫の時にマオマオ鳴きまくってたからマオンという名前なのは一生変わらん」
一途両断する店員さんに、その猫はプイと顔を背ける。
なるほど…あんまり話は理解できないが、この猫はとりあえずマオンという名前なのか。
