喫茶Hesperusには猫がいる

しばらくすると厨房からは、じゅうじゅうとトマトケチャップが焼けるいい匂いがしてくる。
その音に動じることなく、その猫はカウンターに寝そべり続けている。時折パタンとしっぽを振りながら。
よーくそのしっぽを観察すると…真ん中のしっぽは普通の毛並みに見えるけれど、左右のしっぽは心なしか若干透けて見える。


(ってことは…なにかが憑いてる、とか?)


実は昔から、私は『見える』体質だった。
幽霊や妖怪などどいったものを目撃することがよくあり、自分でも少し気持ち悪いなと思うことがよくあった。

そうこう考えてる間にも、ナポリタンが運ばれてくる。
いただきますと手を合わせて口に運びながらも、私は猫を凝視。
猫は相変わらず動じずに、欠伸をしながらしっぽをパタンと振り続けている。


(うーん、何か悪い感じじゃなさそうだしなぁ……)


雰囲気から察するに、特に悪い感じはしないから憑いているのは悪霊ではなさそうだし……むしろ『招き猫』的な感じで大切にされているとか?
ともかく、悪い何かではなさそうなことは確かだ。

ちなみにナポリタンはすごく美味しかった。
酸味がなく甘めのケチャップソースが、モチモチした麺に絡んで…箸ならぬ、フォークが進む一品だった。