「いえ、懐かしくて…」
そう言いながら、ご婦人は涙を拭っている。
「昔ね、よく亡くなった主人と甘味屋さんにぜんざいを食べに行っていたの。もう四十年近く前かしら。だからついね、その事を思い出しちゃったの。
桜並木の中にあるお店で、私はその桜を見ながらぜんざいを食べるのをすごく楽しみにしていたの」
私は正直はっとした。
だって…その黒猫と言っていることが一緒だったから。
(てことは…本当にこの黒猫は……)
黒猫は「な?」とでも言いたいのか、私をじっと見つめてしっぽをパタパタと振っていた。
ご婦人は猫を抱っこしながら、窓の外を見つめて呟く。
「でも残念ね、そこの桜並木も終わってしまったでしょう?
最後ぐらい、桜を見てみたかったわね…」
「最後……?」
思わず聞き返すと、ご婦人は微笑んでこう言った。
「ごめんなさいね、こんな話。
私はね、明後日病院に戻るの。恐らく今日が最期の外出になるわ。
看護師さん以外と話すのが久しぶりで嬉しかったから、つい喋りすぎちゃったわ。ごめんなさいね」
涙も流さずに、にっこりと笑顔のご婦人。
その笑顔は…本当に覚悟を決めた人だからなんだろうか。
微笑むご婦人を見ながら、私の方が胸を締め付けられて…今すぐにでも泣きたくなる衝動にかられていた。
そう言いながら、ご婦人は涙を拭っている。
「昔ね、よく亡くなった主人と甘味屋さんにぜんざいを食べに行っていたの。もう四十年近く前かしら。だからついね、その事を思い出しちゃったの。
桜並木の中にあるお店で、私はその桜を見ながらぜんざいを食べるのをすごく楽しみにしていたの」
私は正直はっとした。
だって…その黒猫と言っていることが一緒だったから。
(てことは…本当にこの黒猫は……)
黒猫は「な?」とでも言いたいのか、私をじっと見つめてしっぽをパタパタと振っていた。
ご婦人は猫を抱っこしながら、窓の外を見つめて呟く。
「でも残念ね、そこの桜並木も終わってしまったでしょう?
最後ぐらい、桜を見てみたかったわね…」
「最後……?」
思わず聞き返すと、ご婦人は微笑んでこう言った。
「ごめんなさいね、こんな話。
私はね、明後日病院に戻るの。恐らく今日が最期の外出になるわ。
看護師さん以外と話すのが久しぶりで嬉しかったから、つい喋りすぎちゃったわ。ごめんなさいね」
涙も流さずに、にっこりと笑顔のご婦人。
その笑顔は…本当に覚悟を決めた人だからなんだろうか。
微笑むご婦人を見ながら、私の方が胸を締め付けられて…今すぐにでも泣きたくなる衝動にかられていた。

