「てことは…」
「こいつは"平成時代"を全く知らないってことになるな」
そうマオンが言うと、ケッと舌打ちをする黒猫。
正直、胡散臭いし……にわかに信じられない話である。
「それで明日はこいつの三十三回忌の法要ってわけだ。
専門的な話になってくるがな、三十三回忌って言うのは一般的には極楽浄土へ旅立ち、ご先祖様になることができるとされている節目の法要なんだ」
「ご先祖様になる…?」
「まぁだから宗派に違いはあれど、一般的には弔い上げと言って最後の法要としている人が多いってわけだ」
「ほぇ……」
「こいつもじきに極楽浄土に旅立つ。だから旅立つ前に、俺様と大己が"会いたい人"に会う手伝いをしてるってわけだ。
今日はこいつが奥さんに会いたいとやってきたってわけ。まぁ黒猫の姿で…だけどな」
大己というのは、あの店員さんのことか。
何かよくわかんないけど、とりあえず……
「つまりここは、三十二年前に亡くなった人が猫になってやってくる場所」
そう言うと「まぁそういうこった」とマオンは頷いた。
