喫茶Hesperusには猫がいる

私は今、履歴書にペンを走らせている。

「三輪依子 十九歳 住所は東京都葛飾区柴又……」


私が今、こんなにも真剣な表情で履歴書を書いているのは……私が無職だからである。


三輪依子(みわよりこ) 十九歳。
本当は先々週から晴れて社会人として働く予定が、まさかの入社前日に就職予定の会社が夜逃げ。
めでたく無職になってしまったのである。

そしてハローワークに通い続け、ようやく面接を取り付けることができた。
それが昨日の話で、早速今日が面接の日なのだ。


「よし、できた!」

何とか提出する用の履歴書が仕上がった。
誤字脱字がないかをくまなくチェックすると、クリアファイルにそれを押し込んだ。

お腹空いたな…と思い時計を見ると、時刻は十一時近い時間。
面接は二時からなので、まだまだ時間がある。


(何か食べ物……うーん、何もないな……)

冷蔵庫の中を見ると、中身はすっからかん。
今までなるべく節約を心がけていたけど、どうせだし面接前の景気付けとして外食してから行こうか。
そう心に決めて、真新しいスーツに身を包んで家を出た。