あれから数十年以上の月日が過ぎた。

 バーソロン家の屋敷は既になく、夫妻の行方も分からない。

 エリザベスドールは今、L市内のA骨董屋の陳列台に飾られていた。

 今となってはアンティークドールの部類に入るのか?

 だけど、不思議な事に年代的な古さを感じさせない雰囲気を漂わせている。

「美しいアンティークドールねー」

「よほど身分の高い家系で大事にされていたのかなー?」

 店を訪れる誰もが陳列台のドールに足を止めて見ていた。

 でもみんな見るばかりで、買おうと言う人は1人もいない。