17歳の冬、ジーナは大きな病に侵された。
 しかも不運な事に、長くは生きられないと言う。

「私はもう、助からないのね」

 窓越しから見える夕焼けの空を見ながらつぶやいたジーナ。
 自らの長くない命を悟っているのよね。

「死ぬって事、怖いだろう?」

 こんな野暮な質問をするなんてとアースルは思った。
 何か楽しい話しでもしようかとジーナに言うと、こんな驚きの言葉が返って来た。

「別に…、怖くないから」

「怖く…ないのか?」