ほの暗い洞窟の中で、恐怖と悲しみを押し込め四人の男女が立っていた。
 
 背の高い少女は気丈に前を向き、洞窟の奥を睨みつける。
 その隣にいる男子は、じっと何かを耐えているが辛そうに目を閉じた。その男子に縋る様に、背の低い少女は腕を掴む。
 
 そして三人目の少女は、泣き腫らしたせいか目が赤い。
 四人の胸の内には、呵責の念と後悔しかなかった。
 
 
 ――助けられない。ただ、それだけしか浮かばなかった。
 
 時間だけが過ぎていき、闇が更に深くなる。
 灯りはそれぞれが持っているランプと、わずかに差し込む月の光だけ。
 足元を見ると、膝の下まで水に浸かっている。黒い水面は全員の恐怖心を更に煽っていた。
 
 しばらくすると、お互いが不安げに顔を見合わせる。だが、緊張している状況では誰も声を発しない。
 
 今、四人がいる場所は、『紺碧の洞窟』
 願いが一つだけ叶う。都市伝説として伝わる場所に四人はいた。
 沈黙が続く中、一人が声を上げた。
 
「お願い。……助けて」
 
 目を真っ赤にさせた少女の悲痛な声が響くと、他の三人も祈る様に手を合わせて願い出す。
 
 助けたかった。どうしても。
 
『願いが叶うと記憶を一つ失う』そう言われても。それでも助けたかった。
 だから願った。
 
 
 ――彼を取り戻すために。