結局香耶のお願いを断ることが出来ず、私は藤堂くんを、彼女は八神くんを誘うことに。
どうして逆なのかと言うと香耶は八神くんに何か話したいことがあるらしい。
でも藤堂くんを誘うのって結構ハードルが高いな。
遂にテスト本番も明日に迫り、デートを誘う期限が近付いてきた。
今日中には何とかしてでも藤堂くんをデートに誘わないと。
「ゴミ捨ててくるねー」
「一ノ瀬さん大丈夫? 俺らも行くけど」
「ううん、自販機寄るついでだし」
放課後、教室の掃除を済ませるとゴム袋を持って廊下に出る。
途中クラスの男子からの好意をやんわりと断ると校舎の外にあるごみ捨て場へ向かう。
あの球技大会から少しだけ私に対するクラスメイトの反応が変わったように思える。
何か、と問われれば答えづらいのだが、それでも私を見る目が少し柔らかくなった気がする。
それもこれも、八神くんのお陰なのかな。
と、
「一ノ瀬さんもゴミ捨て?」
「あ、」
昇降口に着くと丁度居合わせた藤堂くんに声を掛けられた。
その手には私と同じようにゴミ袋が提げられていた。
「藤堂くんも掃除?」
「そう、化学室の。良かったらついでに捨てに行くよ」
「い、いいよ。ここまで降りてきたし」
すると彼は「そっか」と納得すると整った表情を綻ばせた。
「じゃあ一緒に行こうか」