「違うよ、好きって言うか、気になるだよ!」

「そっか、気になるか」


そっか、と落ち着きを取り戻した彼女は徐々に複雑な表情を浮かべ始めた。
そういえば香耶は八神くんのことが苦手だって言っていたかもしれない。

そんな香耶に八神くんとのことを話すのは駄目だったかな。


「でも由奈ちゃんが言うなら、八神くんはいい人なのかもね」

「香耶……」

「分かった、じゃあ八神くんも誘おう!」


八神くんも誘うか、きっとあの人ならどこでも誰とでも楽しく遊びそうだ。
あと藤堂くんとも仲良さそうだし、上手く場も盛り上げてくれそう。

でも、と私たちはここで一つの課題にぶつかることとなる。


「ど、どうやって誘おう……」

「……」


藤堂くんも八神くんも誘うのは気恥ずかしいような。
すると香耶がまた困ったような表情でこちらを見つめてくるのでぐっと息が詰まる思いがした。

また嫌な予感がする。


「由奈ちゃん、お願いがあるの」


ケーキのような甘い声が耳に纏わりついた。