その扱いにはもう慣れたからいいのだけど。


「じゃあ球技退会の出場競技決めまーす」


その日の学級会、教壇の前に立った八神くんはクラス委員らしく今度行われる球技大会のメンバーを纏め始めた。


「あと去年と一緒で公平を期すために自分が所属してる部活と同じ競技には出ないけど。男子はバスケ、女子はバレー。それ以外は男女混合のドッジな」


彼から受けた説明に隣に座っていた香耶の表情が蒼くなる。


「え、じゃあ由奈ちゃん」

「私強制ドッジボールだね」


バレーの方が活躍出来そうだけど学校側が決めたルールであれば従わなくてはならない。
しかしそうなると香耶はどうするべきか。


「由奈ちゃんがドッジなら私も」

「え、でも男女混合だよ? 結構強い球飛んでくるかもだし」


そんな無法地帯に華奢な香耶を連れていくわけにはいかない。しかしバレーとなると少人数だし運動が苦手な彼女には荷が重いかもしれない。
ドッジボールだと最悪逃げ回るだけで役割は果たせる。

うーんと頭を悩ませていると、


「二人は決まった?」

「っ……」


掛けられた声に顔を上げるとさっきまで教室の前にいた八神くんがクラスの端に固まっていた私たちのところにまで脚を運んでいた。
悩んでいる様子を見兼ねてやってきたらしいが、本当によく周りが見えている。


「えっと、私はドッジかなって。部活がバレーだし」

「一ノ瀬さんバレー部なんだ。樋口さんは?」


彼が問いかけを香耶へ向けた瞬間、私の腕が強い力で彼女に引っ張られる。