昔から体が大きかったから男の役をするのが多かった。
自然と周りの視線が私のことを「女の子」として意識していないのが分かった。

だからなのか、私もそう見られることも諦めて男っぽくいようと思い始めた。
自分が最初からそのつもりなら、どう見られても傷付かないから。

八神くんの言葉はそんな私の心に深く刺さった。


「あ、教室着いた。じゃあな」

「……」


彼の姿が教室の中に消えると漸く息が吹き返した。
思っていたよりも、人のこと良く見ている人だなあ。


「(ちょっと怖いな……)」


いい人なんだろうけど。



放課後になり、今日決まったばかりの委員会の活動が始まる。
香耶は最後まで申し訳なさそうにしていた。


「由奈ちゃん……」

「大丈夫だよ、私人前で踊るくらいどうってことないし」


それは本音だった。


「じゃあ一ノ瀬さん行こうか」

「あ、藤堂くん」


藤堂くんが香耶に視線を向けると彼女は照れたように私の背中に隠れる。
しかし積極的になると決心したからか、意を決した表情で何かを言おうと口を開く。


「あの、藤堂く……」


が、しかし。


「あ、ちょっと待った藤堂」