ふと彼女を見やると香耶は涙目で「由奈ちゃん!」と私に何かを訴えていた。
うっ、あんな顔を見たら流石に……
「それで女子の体育委員は……」
「せ、先生。私やります」
「一ノ瀬、やってくれるのか」
おずおずと手を挙げた私に気付くと「じゃあ決まりだな」と先生が呟いた。
藤堂くんが他の女子と委員会をやるよりはマシだと思うけど、まさか私がなるとは。
学級会が終わると私の元へ駆け寄ってきた香耶が申し訳なさそうに謝る。
「ごめんね由奈ちゃん! でも私体育は」
「仕方がないよ、事故だもん。香耶にやらせるわけにもいかないし」
「……うん」
悄気る彼女に「お昼ご飯食べよ?」と提案する。協力すると言った手前、約束は守りたかった。
しかし今日はお弁当がない日だったことを思い出すと一人教室を出て購買を向かった。
「(難しいな、協力するって)」
今までは「応援する」って感じだったし、何をしたらいいか分からない。だけど藤堂くんに恋する香耶は可愛いから何か役に立ちたいのに。
お昼休みで大混雑している購買。しかしこの身長のお陰で苦しい思いはせずにレジで会計をして無事にお昼を購入した。
こういう時、この身長は役に立つんだよな。
と、
「買えた?」