本田さんは又、オレの腕を引っ張って身を寄せて来たのだ。
 しかも顔を近づけて来るし。

「毎日、同じ女のコの顔ばかり見て飽きないの?」

「飽きるとか飽きないとか…、オレ…、そんなの思った事はないけど」

「ふーん」

  目を細め、ちょっとクールな笑みを見せる本田さん。

「なーに?」

「他のコと付き合う事も大事だよ」

「浮気なんかしない」とオレはキッパリ。

「次から次へと相手を変えるなんてもってのほかだけど、一度ぐらいは違う女のコと交際るのも悪くないと思うけどなー」

「オレを誘惑する気か?」

「そんなんじゃない」