「だからと言って私が簡単に恋人の座を明け渡すと思っているのかなー? そんな甘い考えを持って、どうするの?」

 本田さんは間を置いて、こう切り出して来た。

「黒江さんはエラそーに私に説教じみた事を言うけど」

「なーに?」

「そう言うアナタだって、探して今の彼氏を見つけたワケじゃないでしょう? 中学の時は入学式の時からずっと一緒だった。しかも同じクラスで隣の席同士。共に勉強したり一緒に登下校したり、休日には遊んだりしてゆくうちに互いに距離が近くなっただけの事。黒江さんは天崎くん以外の男子とは、天崎くんは真夢以外の女子とは接した事がないのよねー」

 私や天崎の事を随分と知っているようだ。