「ここにね、卵白を入れて」
女が言われた通りに器から卵白を注ぐ。水のように透き通った卵白は、たちまちとろりと真っ白に色を変えて溶け込む。その変化はまるで魔法のようだ、と女は不思議さに興奮して息を飲む。
「後はこれをさっきの型に流し入れて、温めておいたオープンで焼くだけさ」
少年は一息入れると満足そうに胸を張った。