ひどく心がざわついて、眠れない夜、漫然とつけっぱなしのテレビを見ていて、目を奪われた。

 それは、東京湾海底の映像。どこかの僻地では無くて、海中を走る高速道路の休憩所から見える海原のどこかの出来事なのだという。
 海中の映像、煙のように沸き立っている血液は、陸上であったなら、残虐に見える場面を、ひどく曖昧にに見せていた。
 鮫に捕食される魚達の映像は、だからちっともグロテスクでは無かった。
 海水浴場に鮫が出た、などと聞けば、恐怖でしかないだろうに。
 人が暮らす世界から、そう遠く離れていない海の中で繰り広げる出来事に、私は、興奮すら覚えた。