「寒い……風も出てきた」

雨脚は一向に収まらず、冷たい風が全身に吹き付けてくる。

何だか、呼吸も苦しい。

このままでは本当に遭難してしまう!!

「もっと奥に……どこか濡れない場所……」

寒さで意識が朦朧としてくる。

明空は立ち上がる気力もなく、四つん這いになりながら麓とは反対方向の木々の間、

薮の奥へと向かって行った。

薮を押し分けどのくらい歩いただろう。

手足の感覚はとっくに無くなっていた。

自分が何のために歩いているのかもわからない。

そんな時だった。
明空の目の前に何かの建物が見えて来た。