「せめて、新聞紙だけでも……」

リュックを降ろし、出掛けになにかと役に立つと思って入れておいた新聞紙を取り出す。

その新聞紙を折り畳んだまま、何枚も服の下に押し込む。

これで少しは保温できるはずだ。

明空はそのまま、生い茂った木々に身を潜めるように地面に座り込む。

ボタ山と言っても長い年月を経て木や草が繁茂し、外見は普通の山と何ら変わらない。

地元の住民ですら、若い世代ではこの山がボタ山とは知らないくらいだ。