<まごころファイナンス>の最初の対応には全く真心が感じられなかった。

明空はドアを手で押さえた各務の脇をお婆さんをおんぶしたまま、トコトコと通る。

かなり背の高い男だ。

明空は怖くて顔を見上げることができなかったが、180センチは裕にある。

目付きも鋭い。しかも短髪である。

何とも言えぬ威圧感を感じる。

しかも事務所の奥には茫然とこちらを見ているガラの悪い社員が5人もいた。

うん、ファイナンスで気づけば良かったよ。

ここはやっぱり──

「帰ります。さようなら」

明空はお婆さんをソファーに降ろすと、すぐさまドアに向かって突進した。

「え?あ?お嬢さん待ってせめてお茶でも!!

各務!お止めして!」