「すみませんねぇ。
知らん人に、おんぶまでしてもろうてから……」

「いえいえ、ご遠慮なく!それにお婆ちゃんはとっても軽いですよ!」

明空は着物姿のお婆さんを背負って横断歩道を歩いていた。

行き交う人々は怪訝な顔でじろじろと明空たちを眺めていたが、彼女は一向に気にしない。

「う~ん、多分こっちですね」

お婆さんから預かった、手書きの地図を頼りに雑居ビルを探す。

銀色に輝く美しい白髪を上品に後ろで結い上げ、

大きな荷物を抱えて疲れ果てたように街路樹に寄り掛かって座っていたところを、明空が声を掛けたのだ。