「わかったかの……明空?

わしはただの敗残者だ。

友に裏切られ、娘に見下され、一族を滅ぼした愚か者だ。

そちが燃やしたのはそんな名ばかりの神の社じゃ。

気に病むことはない。

《清き心》と

《浄めの手》によって

力満ちた暁には、そちの元を去るゆえ、な……」

明空は何も言わなかった。

何も言わずにただ泣いていた。

聞かなければよかった。

こんな人の良い神さまを傷つける気なんてなかったのに……。

そして、荒神と明空は

ただ押し黙ったまま、天神の街を歩き出した。