「わしは娘を取り戻すべく(きゃつ)の城へ攻め込んだ。

何人も何人も、数え切れないほどの大勢の仲間と部下が命を落とした。

だが、それでもわしは諦めなかった。

我が一族ことごとく、最後の1人が根絶やしになるまで戦い続け、

ようやく娘に逢えた時には──」

ギリギリと荒神の無念の歯ぎしりが聞こえた気がして、

明空はハッとする。

「娘は自らを力ずくで奪った男と同じ寝台に寝ておったよ。

そして満身創夷のわしを見ながらこう言った。

『父上は愚かです。わたくしはこの方の妃になりました』とな……」

「……」