荒神さまはどこか懐かしい、だが苦しい記憶を手繰り寄せるように語り出した。

「あの頃のわしはこの日ノ本から遠く離れた異国の武闘神だった。

人間に仇なす悪鬼や魔族と戦い、人間たちから厚く信仰されていた。

だがそんなある日、娘が城から連れ去られた。

魔族にではない。
わしの武勲を妬んだ同じ仲間の武闘神だった」

「え……?」