「お父さんはいません。

ずっと昔に家を出て行きました。

お父さんが私にくれたのは名前だけ。

顔も上手く思い出せません。

神さまならそのくらい私の心の中のこと、わかるでしょ!?

神通力かなんかで!!」

明空の心が一瞬で悲しみに染まる。

ああ、またやってしもうた──

荒神さまは後悔の念に思わず、口元を引き結んだ。