もっとも、明空以外の人間には神さまの声は聞こえていないのだか──

「アキラ……あんた、昨晩……」

母が恐る恐る明空に話し掛ける。

「うん。大丈夫。風邪引いてない」

「うん、それもだけど昨晩あんた泣いて……」

「ごちそうさま!

今日ちょっと外に出るから!

夕方くらいに帰る!」

まだ話し足りない母を残して、

明空は勢いよく食卓から立ち上がった。

神さまはただその様子を残念そうに見守るだけだった。