「……で、《清き心》と《浄めの手》の説明なのだがの」

「……」

「これ、娘よ。聞いておるのか?」

「いま食事中です。お静かに」

「おお、そうであったの。

きちんと、
『いただきます』

と申したかの?

そちのために朝餉を作ってくださった母君に、感謝しながらいただくのだぞ」

事件の翌日。

神さまの機嫌はすっかり良くなっていた。

生来、人間の世話を焼くのが好きな性分なのか。

それとも、山奥の寂れた社から人里に降りて来られたのが嬉しいのか、

朝から明空や彼女の母親にしきりに話し掛けていた。