「どげんしたとのね、あんた!?

うん?山で雨に打たれて遭難しかけた!?

そいけん、お母さんは登山やら止めときんしゃいて言うたろうが!?

はよ、お風呂に入いんしゃい!!」

明空の母は泥だらけで、ボロボロになって帰宅した娘を一目見るなり、

最初は真っ赤になって怒り狂い、

最後は真っ青になってオロオロと心配した。

怒られていても母の声を聞くと安心できる。

やっと、家に帰って来れたんだ。

リュックを自分の部屋に置き、手を洗うと

山での遭難が嘘のように思えてくる。

このまま、いつものように普通の日常に戻れたらいいのにな──