とにかく、彼女は逃げるに逃げる。

怖くて怖くて振り返れない。

後ろが気になってしかたないのに!

でも、後ろを振り返ったら恐怖で腰が抜けてしまう!

そしたら逃げられない!

きっと捕まる!

この声の主、私を追い掛ける変態の爺さんに!!


「ああ……もしもし?そこの娘よ?

もしかしてその変態の爺さんとは、

わしのコト……?」

どうして!?

なぜ?

心の中で思っただけなのにこの爺さんにわかるの?

私、声に出して言わなかったよね!?

「いやいや、懸念には及ばぬよ。

無知で粗忽な《神殺しの娘》よ──」