明空は慎重にその炎を新聞紙に移す。

マッチ棒を押し付けられた新聞紙の端は少しだけ煙を立てたがすぐに消えた。

「もう少し……あと少し……」

マッチの炎が指を焦がすほど迫って来る。

火が消えないうちに!

マッチが燃え尽きないうちに早く……!

着いて……!!

マッチが触れた新聞紙の端が炎の紅い線に浸蝕されてゆく。

何度やってもここまでで白い煙を残して消えていた炎は、

今度こそ真っ黒に新聞紙を焦がしながら勢いよく燃え上がって行った。

「やった……!やった……」