いつの間にか屋上のドアまで着いていた。
「…どうすんの。どうやって私にアイドル興
味持たせるの」
夏夜は屋上のドアを開けた後、両手を後ろ
に組んでから迷いなく俺に聞いてくる。
興味があるのか?
だけど、そういう風には見えない。
「…その前に辻本さんだっけ?」
俺は目の前にいる辻本さんに話しかけた。
「そうだけど」
無表情に俺に返事をする。
「あの時、俺勢いで言ったけど。別に無理に
興味持たせようとかじゃないから」
俺は思ったことを辻本さんに言う。
そうだ、俺は辻本さんが興味なさそうに言
うから、ついムキになった。
ただ、それだけだ。
「…なんで、そんなこと。私、あなたがどう
やって興味持たせてくれるのか楽しみにして
るんだけど」
俺は聞き間違えているのだろうか。
辻本さんが楽しみにしてる?!
なんで、興味あるものにしか興味がない辻
本夏夜。
「え?いや、え?なんで」
俺は内心戸惑った。
興味があるものにしか興味がない辻本さん
がなんでそんなことを。
「決まってるじゃん。面白そうだから。だか
ら、3日で私にアイドル興味持たせてよ」
辻本さんは何を言っているのだろう。
「…3日!いや、3日までは」
俺は目を丸くして、声を上げた。
「いいの。3日までお願い」
辻本さんは、俺の話なんて聞こえてない。
「いや……無理だって」
俺は、あっけらかんに囚われた。
「3日まで!じゃあ、そういうことで」
辻井さんは俺に言いたいことを言って、屋
上から去っていた。
「……いや、おい」
俺は手を伸ばして、辻本さんに声をかけた
が、そんなことはお構いなしだった。
いや、いや。はあ?え?
なんでーー、こうなる?!
俺は一人取り残されて、どうしようもなく
力が抜けて、授業サボって、教室に行かない
でカバンを置き、ボーッとどこかブラブラし
た。
すると、電気などが置いているお店に行く
と、テレビがあった。
流れていたテレビは、恋愛観であった。
今の時代、結婚しない選択肢も増えていま
す。
人に興味を持っているけど、興味がない振
りしているだけかもしれません。
とどっかのコメンテーターが言っていた。
その言葉で俺は思った。
ただ興味がない振りをしているだけ?
そうなのか?
もしかして、そういうことなのか。