俺は脳内でサバイバルゲームのBGMが流れる。
敵と向かいあって、話している感覚だったので何か落ちつかない。
「……それ、どこで」
俺は目を逸らしながら、夏夜に聞いた。
「あなたの机のそばにあったから。拾ったの」
夏夜は真顔で雑誌がどこにあったか教えて
くれる。
友達と話している時は時々笑うことがある
けれど、特定の友達以外笑ったところは見た
ことがない。
「……あ、ありがとう」
俺は夏夜に戸惑いつつも返事をした。
「じゃあ!」
「……ちょっと待って」
夏夜は俺にそう言った後、去ろうとしてい
たので何故か俺は引き止めた。
「なに」
夏夜は無表情に俺を見てきた。
「…な、なにも言わないのか」
俺は夏夜の顔色を窺いながら、聞く。
「え?あー、別に興味ないし、アイドルなん
て。誰かに広めたりはしないから。気にしな
くていいよ」
夏夜は興味なさそうに俺に言う。
「はあ?」
俺は夏夜が言った言葉をリピート再生した。
興味ないし、興味ないし。
「ほんと気にしなくていいから」
夏夜はまたそういう風に言い、俺のアイド
ル好きを秘密にしていると言う。
だが、本当なのか信用ならない。
少し聞き出す必要性がある。
「お前は何か興味あるものあるのか?」
俺は夏夜に素直に聞いた。
「……あるよ。恋愛!恋すると、女子は変わ
っていくし、なにより話を聞くとこっちも楽
しくなるからね」
ほんとに興味あることしか関心がない。
夏夜は興味あることの話だと、目が輝いて楽
しそうにしている。
いつもこんな風に笑っていれば、ひなちゃ
んみたいにかわいいのに。
はあ?いやいや、人気ナンバーワンの夏夜
と比べる必要性なくない?
ってか、興味あるものしか興味ないという
のは分かるけど、なんか嫌な感じがする。
「私は興味あるものしか興味ないからね」
俺は何も言わないでただ夏夜が言っていた
ことを聞いていた。
だか、興味あるものにしか興味がないとい
うのは分かるけど、俺は逆に誰かが興味持っ
たやつを見てみたいと思い、調べることだっ
てある。
友が俺にいろんなもの勧めたものを好きに
なることだってあった。
友も同じだ。
だから、自分だけ興味あるものだけではな
く、人が興味あるものも見るべきだと思う。
夏夜の発言に少しイラついた。
「もっと興味ないものも関心を持つべきだと
思うけど」