屋上のドアを開けて、辻本さんは後ろにい
た俺に振り返って言う。

「答え?」

 俺はなんのことかわからず、辻本さんに聞
き返す。

「……まあ、いいや。アイドルについて話し
たらもう一回聞くから。それまでに考えてよ」

 1度ため息をついてから、俺に言う。

 俺はなんのことか全然わからず、なぜ辻本
さんがため息をつくのか頭の中で整理しても
分からなかった。

 俺は一旦、頭の中においてから、アイドル
について話題を変える。

「…今日は、最後だよな。アイドルについて
語るのは」

 俺は辻本さんに呟くように言う。

「そうね。だから、杉本くんが私にこれなら
興味持つというのを教えてほしい」

 辻本さんは、いつもより積極的に聞いてく
る。

「…そうするよ。だから、今日はこれ!」

俺は同意しながら、辻本さんに言う。

「これは知ってる。アイドルとして有名No1の
SUBARU」

 辻本さんは、テレビでもよく見ているのか
アイドルSUBARUは、知っていた。

「そう。SUBARUは、二人組で笑いとかっこよさ
が特徴で10年、トップアイドルとして君臨し
てる」

 俺はSUBARUについて、説明し始めた。

「歳とっても、かっこよさは変わりない」

 辻本さんは、俺の言いたいことをすぐに言
った。前はそんなじゃなかったのに。

 一体昨日1日で、何があったのか。

「そこがいいこと。そして、芸能界でも人気
で人当たりがいいし、話を聞いてくれるし。
人としてもずば抜けてる。そこが魅力」

 俺は首を上下で振り、同意する。

「でも、恋愛報道があって、少し危なかった」

 辻本さんは、すぐ話の切り込みを入れてく
る。

「そう。だけど、それはフアン想いだからこ
そ言えなかった部分もあるけど、正直に口に
してくれた」

 俺は即座にSUBARUについて答える。
 辻本さんは、真剣に話を聞いていた。

「そっか」

「あとは、SUBARUは誰からも好かれる才能があ
る。フアンじゃなくても、誰か一人を好きに
させている。SUBARUっていうのは、すごいアイ
ドルってこと。俺からの授業は、これぁけ。
あとは、辻本さんがアイドルに興味持ったら、
調べてみて。俺はもうアイドルについて語っ
た。まだまだアイドルはいっぱいいるけど、
重要なところだけ話したから。辻本さんはど
うだった?」

 俺は辻本さんの顔を見ず、長々と話していたので、どんな表情で話を聞いていたのか気になった。