「イェーイ。勝った!」

クラスメイト男子がトランプで遊んでいた。

「はあ?なんでお前が!」

 もう一人の男子クラスメイトは、悔しそう
に机をたたいていた。

 俺たちはその光景を見ながら、友と話し始
めた。

「なんで目立つ人達は、あんな明るいんだろ
うな」

 俺は自分の机に頬杖をつけて、不思議そう
に友に言う。

「さあ?なんでだろうね」

 友も不思議そうに首を傾げていた。

「ってか、あそこにいる夏夜ちゃんとはどう
なってんの?」

 トランプをしている男女のクラスメイトの
中に辻本さんはいた。

 ひたすら、笑みを浮かべていた。

無理に笑っている訳ではないが、何か違和感
を感じた。

 俺はその姿を見ていたが、やはり人気者な
んだよな。

 話すようになって、そんな経たないけど。
 俺と辻本さんの住む世界は違うことに改
めて思う。

「別に特に何もないよ。ただアイドルについ
て教えてるだけ」

 友にそう言うと、目立つグループのとこを
指して言った。

「…でも、あの夏夜ちゃんだよ。アイドルの
こと教えてって言われたんでしょ。だったら、
少しは秋斗に興味持ってる可能性はあるんじゃ
ない」

「…ないな。ただのクラスメイトだよ」

 俺は即答えた。
 そんなのあり得ないから。
 こんな地味男が人気女子に恋愛感情を抱く
訳がないし。

 人気女子がこんな俺を好きなんて、ないわ。

「……ふーん。面白くない。あ、そうだ。今
日やるよね。フアン活動するよな?」

 友は俺に聞いてきた。

「面白い面白くないじゃないから、するよ。
今日はなんもないから」

 俺は友にツッコミながら、答える。
 すると、目立つグループから辻本さんを呼
ぶ声がした。

「あ、夏夜。どこ行くのー!」

 辻本さんはスタスタと俺らの方に来た。

「秋斗。夏夜ちゃん。僕らのとこへ来ようと
してない?」

 友は俺に言う。

「いや、それはないだろう」

 俺は友に苦笑いを浮かべて、言う。

「…ねぇ、何話してるの?」

 すると、友の言う通り。

 辻本夏夜は俺たちのとこに来たのだ。

「…ただ、話してだけだけど」

 俺は辻本さんを見てから、戸惑いながら返
事をする。

「夏夜。何こいつらと話してんの」