太田川は、何故このような珍妙な体質になったのか?
きっかけは、小学校時代の事だった。
「待て~!」
「きゃあ!」
当時の太田川は、どうしようもなく性に正直なエロガキだった。
具体的には、彼は、事あるごとにスカート捲りをしていた。
登校中、学校で、そして下校中も。
スカートを捲られて恥ずかしがる女の子たちを見るのが、大好きだったのだ。
ただ、太田川の名誉のために記しておくと、彼も生まれつき性欲の権化だった訳ではない。
太田川の家庭が、少々特殊だったのだ。
十六歳という年齢で彼を生み一人で育てて来た母親が、美貌と若さを兼ね備えた、とある風俗店ナンバーワンの嬢であり、太田川は母親の事が大好きだった。
毎晩、店から迎えの車が来ると、颯爽とミニスカート姿で出掛ける母親の下着を下から覗き見ては、太田川は口元を綻ばせ、目尻を垂らし、鼻の下を伸ばしていた。
が、小学校低学年の頃。
母親の事を自慢し、母親が大好きだと同級生たちに言った所。
「マザコンじゃん!」
「マザコン野郎!」
と、罵られたのだ。
「ち、違う! 僕はマザコンなんかじゃない!」
必死に否定した太田川は、その後、学校で一切母親の話をしなくなった。
そして、家でも、無防備な母親の胸元やスカートの中を見ないように必死になっていった。
だが、何事も急には変えられないものだ。特に、性的衝動という、根の深いものであれば尚更だ。しかも彼の場合は、幼少時代からずっと親は母親一人で、更に夜は仕事でおらず独りぼっちで寝なければならないという事から来る寂しさ・人恋しさも原因の一つだった。
そのため、太田川は、母親の艶めかしい肢体や下着姿の視姦を止める代わりに、代替を求めた。
それが、同級生の少女たちに対するスカート捲りだった。
さて、そんな訳で、太田川は、毎日スカートを捲っていた。
教師に叱られても、母親を呼び出されても止めなかった(母親が呼び出された際には、流石の太田川も居心地が悪そうだったが、「あら、良いじゃない。裏で隠れてコソコソと好きな子のリコーダーを舐め回したりするよりも、余程健全だわ」と、あっけらかんと言う母親に唖然としたものだった。結局、親の呼び出しは抑止力にはならなかった)。
そんなある日。
いつものように、その日の下校中も、太田川は女の子たちのスカートを捲っていた。
すると――
「きゃあ! やめて!」
「お! ウサギのパンツ可愛いじゃぐぼはっ!」
白地に可愛らしい兎がプリントされたパンツを見た直後、太田川は吹っ飛んだ。
後から分かった事だが、太田川は車に轢かれたのだった。
目の前にいた女の子たちを避けるようにドリフトして来た車によって。
見事に、彼だけが。
その後暫く生死の境を彷徨った太田川だったが、奇跡的に助かった。
しかも、後遺症は一切なかった。
復学した後。
「待て待て~!」
「いや~!」
懲りずにまた太田川が、女の子のスカートを捲ったところ――
「うっ!」
急にトイレに行きたくなった。
「………………!?」
その後、何度スカートを捲っても、やはりトイレに行きたくなった。
暫くは理由が分からなかった。
が、ある日。
母親の仕事が休みの日に、母親の彼氏を名乗る男が突然家を訪ねて来た時に分かった。
「もう、ちゃんと連絡してくれないと困るわよ。あたし、すっぴんなのに。恥ずかしいわ」
自分の前では、裸でも決して恥ずかしがらない母親が、化粧をしていない顔を好きな男に見られて恥ずかしがりながらお茶を出した際にも、トイレに行きたくなったのだ。
その時、やっと、どういう仕組みなのかが分かった。
その後、あれだけ大好きだったスカート捲りを、太田川は断腸の思いで止めた。
きっかけは、小学校時代の事だった。
「待て~!」
「きゃあ!」
当時の太田川は、どうしようもなく性に正直なエロガキだった。
具体的には、彼は、事あるごとにスカート捲りをしていた。
登校中、学校で、そして下校中も。
スカートを捲られて恥ずかしがる女の子たちを見るのが、大好きだったのだ。
ただ、太田川の名誉のために記しておくと、彼も生まれつき性欲の権化だった訳ではない。
太田川の家庭が、少々特殊だったのだ。
十六歳という年齢で彼を生み一人で育てて来た母親が、美貌と若さを兼ね備えた、とある風俗店ナンバーワンの嬢であり、太田川は母親の事が大好きだった。
毎晩、店から迎えの車が来ると、颯爽とミニスカート姿で出掛ける母親の下着を下から覗き見ては、太田川は口元を綻ばせ、目尻を垂らし、鼻の下を伸ばしていた。
が、小学校低学年の頃。
母親の事を自慢し、母親が大好きだと同級生たちに言った所。
「マザコンじゃん!」
「マザコン野郎!」
と、罵られたのだ。
「ち、違う! 僕はマザコンなんかじゃない!」
必死に否定した太田川は、その後、学校で一切母親の話をしなくなった。
そして、家でも、無防備な母親の胸元やスカートの中を見ないように必死になっていった。
だが、何事も急には変えられないものだ。特に、性的衝動という、根の深いものであれば尚更だ。しかも彼の場合は、幼少時代からずっと親は母親一人で、更に夜は仕事でおらず独りぼっちで寝なければならないという事から来る寂しさ・人恋しさも原因の一つだった。
そのため、太田川は、母親の艶めかしい肢体や下着姿の視姦を止める代わりに、代替を求めた。
それが、同級生の少女たちに対するスカート捲りだった。
さて、そんな訳で、太田川は、毎日スカートを捲っていた。
教師に叱られても、母親を呼び出されても止めなかった(母親が呼び出された際には、流石の太田川も居心地が悪そうだったが、「あら、良いじゃない。裏で隠れてコソコソと好きな子のリコーダーを舐め回したりするよりも、余程健全だわ」と、あっけらかんと言う母親に唖然としたものだった。結局、親の呼び出しは抑止力にはならなかった)。
そんなある日。
いつものように、その日の下校中も、太田川は女の子たちのスカートを捲っていた。
すると――
「きゃあ! やめて!」
「お! ウサギのパンツ可愛いじゃぐぼはっ!」
白地に可愛らしい兎がプリントされたパンツを見た直後、太田川は吹っ飛んだ。
後から分かった事だが、太田川は車に轢かれたのだった。
目の前にいた女の子たちを避けるようにドリフトして来た車によって。
見事に、彼だけが。
その後暫く生死の境を彷徨った太田川だったが、奇跡的に助かった。
しかも、後遺症は一切なかった。
復学した後。
「待て待て~!」
「いや~!」
懲りずにまた太田川が、女の子のスカートを捲ったところ――
「うっ!」
急にトイレに行きたくなった。
「………………!?」
その後、何度スカートを捲っても、やはりトイレに行きたくなった。
暫くは理由が分からなかった。
が、ある日。
母親の仕事が休みの日に、母親の彼氏を名乗る男が突然家を訪ねて来た時に分かった。
「もう、ちゃんと連絡してくれないと困るわよ。あたし、すっぴんなのに。恥ずかしいわ」
自分の前では、裸でも決して恥ずかしがらない母親が、化粧をしていない顔を好きな男に見られて恥ずかしがりながらお茶を出した際にも、トイレに行きたくなったのだ。
その時、やっと、どういう仕組みなのかが分かった。
その後、あれだけ大好きだったスカート捲りを、太田川は断腸の思いで止めた。