「恭ちゃん、ドライヤー借りるね」
下着を身につけ、髪を拭きながら恭ちゃんに声をかけた。
「いつものとこ」
「うん」
ちらっと部屋を覗くと、部屋は綺麗に整えられていた。洗面台の下の収納からシルバーのドライヤーを取り出す。
恭ちゃんはサスペンスドラマでも見ているのか、男性俳優のシリアスな声と音楽が聴こえてくる。
失恋後、圭の好みに合わせて伸ばしていたミルクティー色の髪をショートボブまでバッサリ切った。
けれど今はもうその髪も肩につくようになって、時の流れを感じた。
恭ちゃんに女性のヘアスタイルの好みについて聞いたことがあったけれど、
「凛乃はなんでも可愛いよ」
と、お手本のような返答がきて、私の胸はツキンと痛んだ。
軽く化粧を整えて身支度を済ませた私は、部屋着を着た恭ちゃんに付き添われて玄関にやって来た。見送りは大丈夫なのに。
「お邪魔しました」
「遅いし、車で送るよ」
「えっ? あ、まだ10時だし大丈夫だよ。恭ちゃんち駅歩10分だもん。ありがと」
「……わかった、気をつけて」
私は笑顔で手を振ると、彼の目を見られず視線を下に落としたままドアを閉めた。
共同の外階段で下へ降りていく。
こういう時、恭ちゃんは無理強いしないし私の意見を1番に尊重してくれる。
でもそれは恭ちゃんの優しさなわけじゃなくて、元彼へ未練のある私に引け目があるから、そんな気がしてならなかった。
付き合ったからには彼を大切にしたいと思っているのに、なかなか私の気持ちが追いつかない。
「はぁ……」
ため息をつきながら最後の段を降りた。
恭ちゃんと過ごした後は、いつも罪悪感の波に襲われる。
下着を身につけ、髪を拭きながら恭ちゃんに声をかけた。
「いつものとこ」
「うん」
ちらっと部屋を覗くと、部屋は綺麗に整えられていた。洗面台の下の収納からシルバーのドライヤーを取り出す。
恭ちゃんはサスペンスドラマでも見ているのか、男性俳優のシリアスな声と音楽が聴こえてくる。
失恋後、圭の好みに合わせて伸ばしていたミルクティー色の髪をショートボブまでバッサリ切った。
けれど今はもうその髪も肩につくようになって、時の流れを感じた。
恭ちゃんに女性のヘアスタイルの好みについて聞いたことがあったけれど、
「凛乃はなんでも可愛いよ」
と、お手本のような返答がきて、私の胸はツキンと痛んだ。
軽く化粧を整えて身支度を済ませた私は、部屋着を着た恭ちゃんに付き添われて玄関にやって来た。見送りは大丈夫なのに。
「お邪魔しました」
「遅いし、車で送るよ」
「えっ? あ、まだ10時だし大丈夫だよ。恭ちゃんち駅歩10分だもん。ありがと」
「……わかった、気をつけて」
私は笑顔で手を振ると、彼の目を見られず視線を下に落としたままドアを閉めた。
共同の外階段で下へ降りていく。
こういう時、恭ちゃんは無理強いしないし私の意見を1番に尊重してくれる。
でもそれは恭ちゃんの優しさなわけじゃなくて、元彼へ未練のある私に引け目があるから、そんな気がしてならなかった。
付き合ったからには彼を大切にしたいと思っているのに、なかなか私の気持ちが追いつかない。
「はぁ……」
ため息をつきながら最後の段を降りた。
恭ちゃんと過ごした後は、いつも罪悪感の波に襲われる。