「ニコニコは常にしてるんだけど、この人嫌い、ってなったらほとんど話さないから。表面上は楽しそうにしてるから、嫌われた相手は気付かないんだけど」
それはすごく嫌だなあ、と思う。楽しそうに一緒に過ごしてた相手が、実は自分のこと嫌いだった、なんて。
「あれだけはしゃいで喋ってるの見るの、珍しいから。きっと日南子ちゃんのことすごく気に入ったんだろうな、と思って」
気に入った、というか、からかいがいがあって楽しい、くらいにしか思ってないような気がするけどな。
それにしても、リサさんのことをよく知っている口振りだ。やっぱりリサさんはちょっと特別扱いな気がして、なんとなく、もやもやした気持ちになる。
「他のモデルさんとも仲良かったりするんですか?」
「仕事上の付き合い程度には」
嫉妬めいた感情が滲んでしまった気がして、言ってすぐ後悔したけれど、それに答える桐原さんの声は至って普通。
「モデルさんって、みんな綺麗な方ばっかりなんでしょうね」
「まあ、モデルさんだからね」
「……お付き合いしたりとか、あったりなかったり?」
「さあ。どうでしょう」
はぐらかされるだろうとは思ったけど、やっぱり真面目に答えてくれない。子供じみた私の嫉妬なんて、きっとお見通しなんだろう。
そんな私の気持ちを知ってか知らずか、桐原さんは続ける。
「大人同士なんてあっさりしたもんだよ」
「全然想像できない世界です」
「日南子ちゃんの周りにだって、いっぱいいるでしょ、言い寄ってくる男。そういうのと付き合ってみたら?」
軽く言われたその言葉に、私は少し傷ついた。私の気持ち、分かっていてそんなふうに言うのかな。
「私は、好きな人としか付き合いたくありません」
「今のうちしかできない恋愛もあると思うよ。学生同士のほうが話も合うだろうし」
……これは、線を引かれた、ということだろうか。
じっと顔を見つめても、目を合わせてくれることはなく、ただ口元にいつもと変わらない笑みを浮かべて。
「面倒な大人はやめといたほうがいい」
桐原さんが一言ポツン、と呟いた。
どういう意味か聞き返そうとする前に、リサさんが戻ってくる。それを機に桐原さんは立ち上がってしまった。もうこの話はおしまい、というように。
それはすごく嫌だなあ、と思う。楽しそうに一緒に過ごしてた相手が、実は自分のこと嫌いだった、なんて。
「あれだけはしゃいで喋ってるの見るの、珍しいから。きっと日南子ちゃんのことすごく気に入ったんだろうな、と思って」
気に入った、というか、からかいがいがあって楽しい、くらいにしか思ってないような気がするけどな。
それにしても、リサさんのことをよく知っている口振りだ。やっぱりリサさんはちょっと特別扱いな気がして、なんとなく、もやもやした気持ちになる。
「他のモデルさんとも仲良かったりするんですか?」
「仕事上の付き合い程度には」
嫉妬めいた感情が滲んでしまった気がして、言ってすぐ後悔したけれど、それに答える桐原さんの声は至って普通。
「モデルさんって、みんな綺麗な方ばっかりなんでしょうね」
「まあ、モデルさんだからね」
「……お付き合いしたりとか、あったりなかったり?」
「さあ。どうでしょう」
はぐらかされるだろうとは思ったけど、やっぱり真面目に答えてくれない。子供じみた私の嫉妬なんて、きっとお見通しなんだろう。
そんな私の気持ちを知ってか知らずか、桐原さんは続ける。
「大人同士なんてあっさりしたもんだよ」
「全然想像できない世界です」
「日南子ちゃんの周りにだって、いっぱいいるでしょ、言い寄ってくる男。そういうのと付き合ってみたら?」
軽く言われたその言葉に、私は少し傷ついた。私の気持ち、分かっていてそんなふうに言うのかな。
「私は、好きな人としか付き合いたくありません」
「今のうちしかできない恋愛もあると思うよ。学生同士のほうが話も合うだろうし」
……これは、線を引かれた、ということだろうか。
じっと顔を見つめても、目を合わせてくれることはなく、ただ口元にいつもと変わらない笑みを浮かべて。
「面倒な大人はやめといたほうがいい」
桐原さんが一言ポツン、と呟いた。
どういう意味か聞き返そうとする前に、リサさんが戻ってくる。それを機に桐原さんは立ち上がってしまった。もうこの話はおしまい、というように。