容子さんの時も思ったけど、二人の会話は仲のいい兄妹みたい。
「リサさんと桐原さんって、よくお仕事一緒になるんですか?」
 私の質問に、桐原さんが最後の一口を放り込んで答える。
「よくでもないけど、リサちゃん、これの読者モデル以外にもたまに広告のモデルしたりしてるから、他の子よりは多いかな」
「そうなんですか?」
「そうなんだよ~。リサの知り合いがモデルの事務所をやってて、たまにそこのお仕事手伝ってるの。ほんとにたまーに、だけどね」
 こちらもすでに食べ終わっていたリサさんが説明してくれた。そっか、だからカメラ慣れしてるんだ。どう撮られたらきれいに映るか、わかってる感じだったもんな。
「ヒナちゃんもやってみる? 紹介してあげるよ?」
「私には無理です、固まります」
「あんなの慣れだよ。リサだって最初のうちなんにもわかんなかったもん」
 桐原さんが笑いながら口を挟む。
「でもリサちゃん、最初から度胸だけはあったからなあ」
「根性座ってるとはよく言われる」
 からからと笑うリサさんは、何にも物怖じしないように見える。私はすぐに緊張してしまうタイプだから、リサさんみたいな何事にも上手に対応できる人って、とても羨ましい。
 理恵さんも食べ終わると、ジェラートの紙をくしゃっと丸めて立ち上がった。
「ちょっと確認したいことがあるから、オーナーと話してくる。ヒナちゃん、ゆっくり食べてていいから」
「あ、じゃあリサもトイレ行く」
 そう言ってリサさんも立ち上がり、私の耳もとで一瞬止まって囁いた。
「ゆっくりしてくるからね」
「なっ」
 にを言っているのか、と慌てる私に意味深な笑みを残して、去っていった。
 そんなことを言われたら、二人きりだ、と急に意識してしまう。黙々とジェラートを食べ続けていると、桐原さんが話しかけてくれた。
「リサちゃんとえらく仲良くなったんだね。ちょっとびっくりした」
「なんでですか?」
「ああ見えて、人に対する好き嫌いが激しいんだよ、彼女。苦手な人に対してはわかりやすいし」
「……すごく意外です」
 誰に対してもあの調子でニコニコしてるんだと思ってた。