編集長、と諌めるように呼ぶ中屋さんにじゃあよろしく、と言うと、瀬田さんは打ち合わせに戻っていった。
「ごめんね、あの人悪趣味で。たまに意地悪になるの。気に入った子には特に」
そんなこと言われても、全然気に入られてるように思えない。ちゃんとやっていけるかな、私。
始まって早々ちょっと落ち込み気味になる私に、それまで来客用のソファに座ってこちらを見ていた女の子が近づいてきた。
「はじめまして。今日一緒に撮影する安藤梨沙です。リサって呼んでね」
身長は私と同じくらいで、大きい目が特徴的な子だった。ちょっと容子さんに雰囲気が似てるけど、リサさんの方がもっと派手な感じ。爪はきれいにネイルが施されていて、メイクもしっかりめ。
「リサもヒナちゃんに会いたかったんだ。四月号の写真、すんごい可愛かった」
にいっこり、と笑って私の耳元で囁いた。
「今日、ガクさんとふたりっきりにしてあげられるよう頑張るね」
「頑張らなくていいです!」
慌てる私と笑うリサさんを、中屋さんが不安そうに見ていた。
ロケ地までは車で二時間くらいだそうで、私とリサさんが後部座席、中屋さんが運転で、賑やかに出発した。
リサさんは服飾の専門学校の三年生で、読者モデルも三年目。デザイナーになるのが夢で、今も授業で洋服のデザインや制作をしているらしい。
「リサ、可愛いものだーい好きなんだ。だから可愛い女の子もだいすき」
そう言って笑うリサさんは、性格も容子さんに似ているみたいだ。ずっと楽しそうににこにこしていて、よく話すけどきちんと私の言葉も聞いてくれるし、全然疲れる感じじゃない。あんまり社交的ではない私だけど、リサさんとはすぐに打ち解けることができた。
「ねね、ヒナちゃんは、ガクさんのどこが好きなの?」
途中で寄ったファーストフードで買ったシェイクを飲みながら、リサさんが唐突にそんなことを言い出す。私は飲んでいたアイスコーヒーを吹き出しそうになった。
「ど、どこって」
「それ、私も聞きたいわ」
運転席の中屋さんまでそんなことを言い出した。
「中屋さんまでっ」
「あ、リサそれも気になってたんだ。なんで名字で呼ぶの? 理恵さんは理恵さんだし、リサはリサでいいよ?」
「ごめんね、あの人悪趣味で。たまに意地悪になるの。気に入った子には特に」
そんなこと言われても、全然気に入られてるように思えない。ちゃんとやっていけるかな、私。
始まって早々ちょっと落ち込み気味になる私に、それまで来客用のソファに座ってこちらを見ていた女の子が近づいてきた。
「はじめまして。今日一緒に撮影する安藤梨沙です。リサって呼んでね」
身長は私と同じくらいで、大きい目が特徴的な子だった。ちょっと容子さんに雰囲気が似てるけど、リサさんの方がもっと派手な感じ。爪はきれいにネイルが施されていて、メイクもしっかりめ。
「リサもヒナちゃんに会いたかったんだ。四月号の写真、すんごい可愛かった」
にいっこり、と笑って私の耳元で囁いた。
「今日、ガクさんとふたりっきりにしてあげられるよう頑張るね」
「頑張らなくていいです!」
慌てる私と笑うリサさんを、中屋さんが不安そうに見ていた。
ロケ地までは車で二時間くらいだそうで、私とリサさんが後部座席、中屋さんが運転で、賑やかに出発した。
リサさんは服飾の専門学校の三年生で、読者モデルも三年目。デザイナーになるのが夢で、今も授業で洋服のデザインや制作をしているらしい。
「リサ、可愛いものだーい好きなんだ。だから可愛い女の子もだいすき」
そう言って笑うリサさんは、性格も容子さんに似ているみたいだ。ずっと楽しそうににこにこしていて、よく話すけどきちんと私の言葉も聞いてくれるし、全然疲れる感じじゃない。あんまり社交的ではない私だけど、リサさんとはすぐに打ち解けることができた。
「ねね、ヒナちゃんは、ガクさんのどこが好きなの?」
途中で寄ったファーストフードで買ったシェイクを飲みながら、リサさんが唐突にそんなことを言い出す。私は飲んでいたアイスコーヒーを吹き出しそうになった。
「ど、どこって」
「それ、私も聞きたいわ」
運転席の中屋さんまでそんなことを言い出した。
「中屋さんまでっ」
「あ、リサそれも気になってたんだ。なんで名字で呼ぶの? 理恵さんは理恵さんだし、リサはリサでいいよ?」