「とんでもないです、大変興味深いです。でも、いきなり押しかけてすみません。ご迷惑でしたよね」
「迷惑だったらさっきの時点で断ってるよ。俺も気分転換したかったんだ。話し相手になってもらえて助かる」
ああ、やっぱり大人だなあ、と思う。思いつきでなんでも口にしちゃう私とは大違いだ。
冷めないうちにどうぞ、と促され、コーヒーを一口すする。ちゃんとお砂糖なしのミルク入りだった。
「ようちゃんがミルクだけ、って言ってた気がするんだけど、合ってた?」
「はい、おいしいです」
よかった、と言って彼も自分のカップに口を付ける。あれには大量のお砂糖が投入されているんだろうか。
「写真、見たいんだよね? ブライダルの写真はデータはあるんだけど、写真としてはあんまり手元になくて……どっかにあったかな」
本棚の一角をゴソゴソ探しながら、首をひねる。
「どんなのでもいいです、桐原さんが撮ったやつなら」
んー、と考えながら、何冊かアルバムのようなものを渡してくれた。簡単なスクラップみたいなものや、きちんと装丁されたものもある。
「写真集?」
「いや、そんな大層なものじゃなくて、自分はこういう写真を撮ります、って売りこむ時に見せたりするやつなんだけど。まあ、自分で作った写真集だと思ってくれたらいいよ」
桐原さんが撮った写真を見るのって、あの雑誌以外では初めてだ。いそいそとスクラップを手にとってページを開くと、初めに飛び込んできたのはドレス姿の女の人の写真が二枚。一枚は暗闇の中、足元に置かれたライトの明かりがぼんやりと女の人を照らして、シックな雰囲気を醸し出している。もう一枚は、こちらは光がたっぷり差し込む中で、女の人がにっこり笑っていた。夜と昼なのかな、どちらも周りは芝生で、雰囲気が違うけど同じ場所で撮ったものみたいだ。
「それは人物の写真ばっかり集めたやつかな。今見てるのは結婚式場のパンフレットの写真。プロのモデルさん使ってるし、撮り方も広告向けだから普通のブライダルの写真とは雰囲気違うけど、日南子ちゃんにはおもしろいかも」
「迷惑だったらさっきの時点で断ってるよ。俺も気分転換したかったんだ。話し相手になってもらえて助かる」
ああ、やっぱり大人だなあ、と思う。思いつきでなんでも口にしちゃう私とは大違いだ。
冷めないうちにどうぞ、と促され、コーヒーを一口すする。ちゃんとお砂糖なしのミルク入りだった。
「ようちゃんがミルクだけ、って言ってた気がするんだけど、合ってた?」
「はい、おいしいです」
よかった、と言って彼も自分のカップに口を付ける。あれには大量のお砂糖が投入されているんだろうか。
「写真、見たいんだよね? ブライダルの写真はデータはあるんだけど、写真としてはあんまり手元になくて……どっかにあったかな」
本棚の一角をゴソゴソ探しながら、首をひねる。
「どんなのでもいいです、桐原さんが撮ったやつなら」
んー、と考えながら、何冊かアルバムのようなものを渡してくれた。簡単なスクラップみたいなものや、きちんと装丁されたものもある。
「写真集?」
「いや、そんな大層なものじゃなくて、自分はこういう写真を撮ります、って売りこむ時に見せたりするやつなんだけど。まあ、自分で作った写真集だと思ってくれたらいいよ」
桐原さんが撮った写真を見るのって、あの雑誌以外では初めてだ。いそいそとスクラップを手にとってページを開くと、初めに飛び込んできたのはドレス姿の女の人の写真が二枚。一枚は暗闇の中、足元に置かれたライトの明かりがぼんやりと女の人を照らして、シックな雰囲気を醸し出している。もう一枚は、こちらは光がたっぷり差し込む中で、女の人がにっこり笑っていた。夜と昼なのかな、どちらも周りは芝生で、雰囲気が違うけど同じ場所で撮ったものみたいだ。
「それは人物の写真ばっかり集めたやつかな。今見てるのは結婚式場のパンフレットの写真。プロのモデルさん使ってるし、撮り方も広告向けだから普通のブライダルの写真とは雰囲気違うけど、日南子ちゃんにはおもしろいかも」