「そっち行っていい?」
「ダメですっ」
彼の言葉に咄嗟にそう返してしまった。
「駄目?」
「あの、今私、すっごいひどい顔してるから……」
酔っ払った上に泣いて、多分むくんでパンパンだ。泣き顔なんて何度も見られてるけど、今のこの顔は見られたくない。
背後からふ、と笑う気配が伝わって、足音が動いた。必死で顔をこすって涙を拭う私の前に膝をつくと、そっと腕の中に抱き込んだ。
「これなら見えないからいい?」
頭の上から優しい声が響いてくる。こくん、と頷いて、目の前の胸に額をくっつけてみた。
少し早い心臓の音が、聞こえてくる。
「ちゃんと本音を伝えなきゃ、と思って。
ーー君が好きです」
一瞬で湧き上がった感情に、全身を包まれる。心の奥に眠ってたマグマが一気に吹き出したみたいに、体がかっと熱くなった。嬉しい気持ちと信じられない気持ちが入り混じって、ぐちゃぐちゃに心を染めていく。止めようと思った涙がまた溢れて、しゃくり上げるのを抑えきれなくなって、ふぅ、と変な声が漏れた。
「優衣さんの、代わりじゃなくて……?」
私の言葉に、彼の腕の力がこもる。
「今はもう、全然似てない。日南子ちゃんしか見えない」
ふうう、と声を上げて泣く私の頭や背中を、何度も優しく撫でてくれる。ようやく落ち着いてきた私から体を離して、涙でぐちゃぐちゃの顔を覗き込んだ。
「幸せにできるかどうかわかんないけど。俺のそばにいてくれる?」
ーー初めて逸らさずに、私の目を見てくれた気がする。
「はい」
大きく頷く私に向けられたのは、大好きなあの穏やかな笑顔だった。そのままゆるゆると顔が近づいてきて、私は目を閉じる。
あたたかい感触が、そっと、私の唇に触れた。
その瞬間。
パッと周りが明るくなった。驚いて目を開けると、真横のオブジェに明かりが点っている。見渡すと、私たちの周りのオブジェだけ、ライトが点灯していた。
キレイ……。
言葉を失ってただその光景を見つめる。まるで祝福してくれているように、柔らかな光の洪水が私たちを包んでいた。
「ダメですっ」
彼の言葉に咄嗟にそう返してしまった。
「駄目?」
「あの、今私、すっごいひどい顔してるから……」
酔っ払った上に泣いて、多分むくんでパンパンだ。泣き顔なんて何度も見られてるけど、今のこの顔は見られたくない。
背後からふ、と笑う気配が伝わって、足音が動いた。必死で顔をこすって涙を拭う私の前に膝をつくと、そっと腕の中に抱き込んだ。
「これなら見えないからいい?」
頭の上から優しい声が響いてくる。こくん、と頷いて、目の前の胸に額をくっつけてみた。
少し早い心臓の音が、聞こえてくる。
「ちゃんと本音を伝えなきゃ、と思って。
ーー君が好きです」
一瞬で湧き上がった感情に、全身を包まれる。心の奥に眠ってたマグマが一気に吹き出したみたいに、体がかっと熱くなった。嬉しい気持ちと信じられない気持ちが入り混じって、ぐちゃぐちゃに心を染めていく。止めようと思った涙がまた溢れて、しゃくり上げるのを抑えきれなくなって、ふぅ、と変な声が漏れた。
「優衣さんの、代わりじゃなくて……?」
私の言葉に、彼の腕の力がこもる。
「今はもう、全然似てない。日南子ちゃんしか見えない」
ふうう、と声を上げて泣く私の頭や背中を、何度も優しく撫でてくれる。ようやく落ち着いてきた私から体を離して、涙でぐちゃぐちゃの顔を覗き込んだ。
「幸せにできるかどうかわかんないけど。俺のそばにいてくれる?」
ーー初めて逸らさずに、私の目を見てくれた気がする。
「はい」
大きく頷く私に向けられたのは、大好きなあの穏やかな笑顔だった。そのままゆるゆると顔が近づいてきて、私は目を閉じる。
あたたかい感触が、そっと、私の唇に触れた。
その瞬間。
パッと周りが明るくなった。驚いて目を開けると、真横のオブジェに明かりが点っている。見渡すと、私たちの周りのオブジェだけ、ライトが点灯していた。
キレイ……。
言葉を失ってただその光景を見つめる。まるで祝福してくれているように、柔らかな光の洪水が私たちを包んでいた。