閉会セレモニーが始まる、ということで、みんなで舞台袖に移動する。舞台上は狭いので、代表でデザイナーだけが上がることになっていた。リサさんと西さんが、行ってくるね、と飛び出していく。
 閉会用の映像がスクリーンに流れる。直前に編集したのか、卒展の様子を写した映像も使われていた。卒業生の代表が前に出て挨拶するのを聞きながら、舞台に並ぶデザイナーも、袖で控える生徒も、みんな神妙な顔をしていた。
 挨拶が終わると、ジャラララン、と音楽が流れて、一気に雰囲気が明るくなった。進行役の学生が、人気投票の結果を発表していく。
 三位から順に、ステージナンバーとテーマ、そしてそれぞれ所属の科と名前が読み上げられる。発表されたチームはみんな声を上げて喜んで、舞台袖で待機していた子達が誇らしげに舞台上に上がっていく。
 三位、二位と発表されて、残るは一位のみ。
 司会の声が静まり返った会場内に響き渡る。
「それでは発表します。第五十五回卒業制作展ファッションコンペ、人気投票第一位は……」
 小川さんがコクリ、と喉を鳴らすのがわかった。宇野さんも保志さんも、真剣な表情で舞台を見つめている。
「ステージナンバー十九番、『LOVE STORY』!」
 発表された瞬間、きゃー、っと舞台上のリサさんの声が響いて、西さんと抱き合って喜んでいた。小川さんもやったー、と叫んで、保志さんと宇野さんの手に抱きついて飛び跳ねた。みんなの努力が報われたのが嬉しくて、私も愛香と潤平くんと顔を見合わあせてハイタッチする。
 ひとりひとりの名前が順番に読み上げられて、舞台に上がるのを見送ろうとすると、珍しく興奮気味の宇野さんが何言ってるの、と笑った。
「ヒナちゃんたちも来るに決まってるじゃない」
「でも私たち、ここの生徒じゃないですし」
「そんなの関係ないよ。みんなチーム!」
 小川さんにグイグイと背中を押されて、戸惑いながらステージへと向かう。リサさんがこちらに向かって駆け寄ってきて、全員に順番に抱きついた。
「みんなのおかげだよー、ヒナちゃんも潤平くんも愛香ちゃんも、ほんっとありがとう!!」