「知ってますよ。二人とも同じ学科なので」
 じゃあ私潤平くん紹介して欲しい、とはしゃぐ小川さんを見て、宇野さんが、だったら、と呟いた。
「その二人にもモデルしてもらえば?」
 名案を思いついた、という感じで宇野さんが西さんの方を見る。
「二つあるテーマのイメージが正反対だから、モデルも別の方がいいかな、って前に圭太言ってたじゃない。私もあの二人、顔だけは知ってるけど、すごくステージ映えしそうよ?」
「あー、リサも愛香ちゃんに会ってみたい。ヒナちゃんから話聞いて、興味あったんだ」
 リサさんも同調して、にわかにその場が盛り上がった。その中で私は一人、内心焦る。
 ちょっと待って。愛香はいいけど、潤平くんが関わってくると若干困る。
 そんな私の心の中なんて分かる訳もなく、西さんが真剣な顔で私に聞いてきた。
「道端さん、その二人ってモデルとか頼めそうかな? そういうの嫌いそう?」
 いや、愛香はイベント好きだし、潤平くんだって雑誌のモデルに応募するくらいなんだから、嫌いではないだろう。むしろおもしろがりそうで、正直にそう伝えると、西さんが少年の笑みを浮かべた。
「道端さんから二人に聞いてもらってもいい? できれば前向きに考えて欲しいって」
 そんな期待に溢れる顔をされて、嫌なんて言えなかった。

 モデルの話を二人にすると、予想通り二つ返事で引き受けてくれた。だけど愛香は不満そうで。
「私はともかく、なんで潤平にまでそんな話頼むのよ?」
「だって二人に、って頼まれたし」
「だからってバカ正直に引き受けてくるなっつーの。あんた、危機感とか覚えないわけ?」
「なになに、何の話~? なんで危機感覚えるの?」
 採寸をしていたリサさんが、私たちのコソコソ話を聞き止めて無邪気に疑問を口にする。