「こんばんは」
 と僕は言った。


 そしたら彼女も笑顔で、
「こんばんは」


 って言った。


 僕の胸の動機は、ちょっと早くなっていたよ。それで、空気の匂いや、地面の感覚なんかが、より鮮明に思えた。



「あのさ、今日は、君に言いたいことがあって」


 ちょっと緊張のしすぎかもしれない。
 口の中が乾いている。


 胸の鼓動が収まらない。


 それでもなお、僕は頑張って、少女への愛の告白の言葉を口にした。



 しばらくの間、沈黙があった。
 僕の心を、不安が支配した。