守るためなら、殴られましょう! 田中穣

「僕も欲しいよ」

「はっ?」

「聞こえなかったかな?
僕も…」

近づこうと右側に少し体を動かす。

「動くな!!」

好青年が急に大声を出す。

「何で?
聞こえないなら…」

止めた体を右側に動かして行く。

「バカ!!!
終わってないだろうが!!!」

好青年はそう言い残し、すごいスピードで姿を消した。

「ああ…」

右側に体を動かすのを止めて、体を元に戻す。

「今、終わった…」

助かって……良かった……。


「おはよう!
田中くん」

昨日の好青年が笑顔で僕に挨拶する。

「…おはよう」

同じクラスだったのか!!!

浮かれてて、クラスメイトの自己紹介、全然聞いてなかったからな。

自分の席に座ろうとすると、好青年が前の席に座る。

自分の前の席の人だったのか!!!

浮かれてて、窓の外の景色ばっかり見てたからな。

もし…かしたら…好青年の双子のもう一方とか…。

「田中くん」

好青年の双子のもう一方? が席に座ったまま、笑顔で僕を見ている。

「はい」