「無理だな」

「何でだよ! 兄ちゃん!!!」

坊主頭がスキンヘッドのズボンにしがみつく。

「可愛い女の子じゃないか」

スキンヘッドが坊主頭を見下ろす。

「可愛い女の子だから、何だよ!!!」

「木々葉を可愛いと思ってたんだ…」

僕はボソッと呟く。

「うるさい!
田中!!!」

聞こえてたんだ……。

「可愛い弟が殴られたんだぞ!!!」

「自分で可愛いって…」

僕はさっきよりも小さい声で言う。

「田中!!!」

地獄耳だな……。

「確かに可愛い弟だけど……」

スキンヘッドが右手を坊主頭の頭の上に置く。

「可愛い女の子が殴ってしまうほどの事を、お前がやったんじゃないのか?」

「それは……」

「穣を突き飛ばしたんです!!!」

木々葉が大声で言う。

「……そうなのか?」

「それだけじゃないです!!!」