「嫌だ! 痛い! 当たらない!
僕は運動苦手だから!!!」

殴りたくない!!!

「分かった……」

木々葉が僕の目の前でかがむ。

「私が殴って。
ずっと穣の事を守ってあげる!」

木々葉が僕に笑いかける。

「木々葉……。
ありがとう!!!」

この時の僕は、殴られるのが本当に、本当に、本当に嫌だったから。

木々葉に守られる事を僕は選んだ。

木々葉は女の子でも、僕より強い、誰よりも強いって、思ってたから。


「お嬢ちゃんか?
俺の弟を殴ったのは…」

高校生ぐらいのスキンヘッドの男がにらみながら、木々葉に聞いてきた。

「そうだよ、兄ちゃん。
やっつけてくれよ!」

スキンヘッドの後ろに居る坊主頭が言う。

「そうだな……」