「穣……そこ、どいてよ……。
その男、殴れないじゃん!!!」

木々葉の右拳が僕の目の前で止まっている。

間に合った……。

「木々葉……」

僕は木々葉の右拳を両手で包み込む。

「殴らないでくれ……。
じゃないと、僕が殴られた意味が無くなる……」

僕は木々葉にそうして欲しくなくて…。

「嫌だ……。
私、許せない!!!」

木々葉の両目に涙がたまる。

「嫌だ……。
僕は、木々葉を嫌いになりたくない!!!」

僕が暴力嫌いって…知ってるだろ?

「殴らない……。
だから!
私の事……嫌いにならないで?」

木々葉が僕を見つめる。

「うん……」

木々葉が僕の腰に左腕をまわして、抱きつく。

「もう……殴られないで……」

「努力するよ……」

僕ももう殴られたくない……。


でも、木々葉を守るためなら……。

僕は進んで殴られましょう!