「付き合って下さい!」


そう言って私の前に片手を差し出し深々とお辞儀するのは、ほんの二日前まで私が憧れていた柊先輩だ。

そう、ほんの二日前までなら私は二つ返事で彼と付き合っていただろう。

イケメンで高身長、生徒会役員で人望も厚く、優しくて運動神経も抜群おまけに成績も優秀。

そんな先輩に付き合って欲しい、なんて言われたら少なくともウチの学校の女子生徒で断る人は皆無だと思う。

だけど……

「ごめんなさい!」

私は謝罪の言葉を発して、先輩に深々とお辞儀をしていた。

本当に、二日前なら……
先輩の告白を受けないなんて、私自身が信じられないと思う。

だけど……

私はもう一度顔を上げ、先輩の顔をよ~く見てみる。

いや、先輩の顔というより先輩の周り、周囲に出ているステータスコマンドと言った方が良いだろう。

名前:柊 司(ヒイラギ ツカサ)
年齢:17歳
職業:学生
容姿:88
性格:70
モテ値:90
好感度:100


ゲーム画面等でよく見るその画面が、先輩の周囲にはくっきりはっきりと出ているのだ。

幻覚ではない。

先輩の私への好感度は今MAXとなっていた。
本来なら申し分ないステータス。
だが、そんな彼にはユニークスキルなるものが記されてあり私が返事をNOとしたのは、それも原因の一つだ。

スキル:重度のマザコン ドM


……………………ムリだ。

しかも二つも……。
やっぱ、無理。
ムリむり!!

絶対にムリ!!

この超優良物件の先輩が今まで残っていた理由が、今なら痛いほどわかってしまう。

出来ればわかりたく無かったが……。

そう、私には見えてしまうのだ。
男性のステータスがほんの二日前から……。


多分、ここまで言ったところで他の人には一体なんの事やらだろう。

話しは二日前に遡る。